たべちゃいたいほど、恋してる。
カツカツと階段を上る音がしたかと思えば、ぐいっと強い力でひっぱられた優衣の顔。
強制的に上を向かされた優衣の頬に伝わったのは暖かいぬくもりで。
驚きに目を見開けば、目の前には不機嫌そうな龍之介の姿があった。
(本、物…?…あ、きっともう聞いちゃったんだ…だから怒ってるんだ…)
そう思えばまだ乾いていなかった優衣の瞳がまたじわじわと濡れていく。
「え、おい。遊佐?」
みるみるうちに涙が浮かんでくる優衣の目に焦りだす龍之介。
しかし、そんな龍之介に気付くことのない優衣はポロポロと涙を零し
「うわぁぁあ…ごめんなさい……!洋服返せとか言っちゃやだよー!!番号消せとか言わないでぇ…っ」
と子どものように泣き始めた。