たべちゃいたいほど、恋してる。
あそこなら誰も入ってこねぇし、と龍之介が優衣の頭を撫でる。
優衣は止まらない涙を腕で擦りながら何度も懸命に頷いた。
それと同時に龍之介に引かれた手のひら。
(わっ…手、繋いでる…!怒って、ない…?…手、繋ぐの嫌じゃ、ないの…?また誤解されちゃうよ…?)
そう思う頭とは裏腹に優衣の手はぎゅっと龍之介の大きな手のひらを握り返していた。
誰もいない廊下を龍之介の手に引かれながら歩く。
その間ひたすらドキドキと五月蝿く音をたてる優衣の心臓。
(あぅぁ…ドキドキいってるよぉ…)
どうか大上くんに気付かれませんように、と心の中で何度も唱えながら優衣は黙って龍之介に手を引かれていた。