たべちゃいたいほど、恋してる。
「…さ、遊佐。着いたぞ」
どれくらい歩いたのか。
下を向きながら歩いていた優衣が龍之介の言葉に顔を上げれば、そこには一面大空が広がっていて。
どうやら気付かないうちに屋上へ着いていたらしい。
「わぁ…!」
初めて足を踏み入れた屋上。
そこに広がる眩しいくらい青に優衣は思わず感嘆の声を上げる。
「お、泣き止んだな」
口の端を上げ意地悪そうに笑う龍之介。
悪戯っ子のような笑みを浮かべた龍之介に優衣は頬を赤らめ俯いた。
「…で?なんかあったのか?」
そんな優衣の反応に面白そうに喉の奥で笑った龍之介は、フェンスの近くへ腰を下ろすと隣に座るよう優衣を促す。
言われた通り、大人しく隣に座り込む優衣。
そしておずおずと龍之介を見上げた。