たべちゃいたいほど、恋してる。
見ても性欲すらわかねぇっつの、とさらりと言われ、それはそれでどうなの…と優衣が心で涙を流したのは言うまでもない。
(一応、花も恥じらう女子高生なんだけどな…)
「いいから大人しくしてろ」
ガッと睨まれ優衣は大人しく口を閉じる。
大人しくなった優衣を確認すると、龍之介はそのまま何処かへ歩き始めた。
何処に向かっているのかわからぬまま担がれている優衣。
「…大上くん…」
「あぁ?」
「…何でもないです。ごめんなさい」
話し掛けようと試みたがあえなく撃沈。
(き、気まずい。というか意外と怖いよ、この体勢。思ってたより揺れる。落ちないとは思うけど、やっぱちょっと怖いなぁ…)
そう思いながらも龍之介に話し掛けられるはずもなく、優衣は泣きそうになりながら黙って龍之介の背中を見ていた。
すると
「怖いなら背中掴んどけ」
ふいに聞こえた龍之介からの一言。