たべちゃいたいほど、恋してる。




見ても性欲すらわかねぇっつの、とさらりと言われ、それはそれでどうなの…と優衣が心で涙を流したのは言うまでもない。




(一応、花も恥じらう女子高生なんだけどな…)




「いいから大人しくしてろ」




ガッと睨まれ優衣は大人しく口を閉じる。

大人しくなった優衣を確認すると、龍之介はそのまま何処かへ歩き始めた。


何処に向かっているのかわからぬまま担がれている優衣。




「…大上くん…」


「あぁ?」


「…何でもないです。ごめんなさい」




話し掛けようと試みたがあえなく撃沈。




(き、気まずい。というか意外と怖いよ、この体勢。思ってたより揺れる。落ちないとは思うけど、やっぱちょっと怖いなぁ…)




そう思いながらも龍之介に話し掛けられるはずもなく、優衣は泣きそうになりながら黙って龍之介の背中を見ていた。


すると




「怖いなら背中掴んどけ」




ふいに聞こえた龍之介からの一言。




< 14 / 574 >

この作品をシェア

pagetop