たべちゃいたいほど、恋してる。




振り向いた優衣の周りに充満するふんわりと甘いピンクのオーラ。

それは恋する乙女の色で。




「うん!お昼食べてくるね〜!」




振りまくオーラに負けないくらい恥ずかしげに桜に色づき続ける優衣の頬。


そんな優衣に一瞬狼狽えた夏希だが、理由もわからないまま行かせるわけにはいかない。




「ちょっ…誰…」




夏希が眉間に皺をつくり優衣を問いただそうとしたとき、それを遮るように隣から声が聞こえた。




「もしかして…………龍?」




声の主は先程まで夏希と同じく神妙な面持ちをしていた健で。


夏希と優衣はその声に二人揃って健へと視線を向けた。


同時に二人の視線を向けられた健は困ったように笑ったあと再び優衣に"龍なの?"と問い掛ける。




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