たべちゃいたいほど、恋してる。
耳元で紡がれた流暢な英語。
まるで音楽のように流れるそれに聞き惚れていた優衣だが、その内容を理解するやボッと火が点いたように耳の先まで赤く色を変えた。
(え、えぇぇえ!?り、龍くんが…今…は、はにー!?)
おおよそ普段の龍之介からは想像できないその台詞。
全校生徒が聞いたら恐らく気を失うであろう言葉を恥ずかしげもなく言ってのける龍之介に、龍之介の中を確かに流れるヨーロピアンの血を確認した優衣。
しかし、同時にその言葉が嬉しくて。
優衣は迷うことなく頷いていた。
「……私も、だよ」
絡んだ指は無意識のうちに強くなり二人を結ぶ。
どちらともなく寄せられた肩はまだ知らない互いへの一歩のように触れ合って。
遠く聞こえる予鈴の音を今だけは聞かなかったことにして、穏やかな時間に溺れた。