たべちゃいたいほど、恋してる。
クエスチョンマークを浮かべている優衣に気付いた渚は少し驚いたように優衣に問い掛ける。
その問いに優衣は素直に頷いた。
「入学した頃噂になったんだよ。大上くんと井上さん」
まぁ噂程度で本当かどうかはわかんなかったけど…と三人は昔話をするようなノリで当時の噂を話しだす。
簡略すれば、井上春奈を好きだった龍之介が彼女を追いかけてこの学校を受験。
彼女も万更ではなさそうだった、という話らしい。
「…そう、なんだ…」
優衣はその話を聞きながら、知らなかった…と僅かに視線を下げる。
隣ではそんな優衣の反応に気付くことなく恋愛話に花を咲かせる四人。
そして優衣もまた何事もなかったかのように会話に耳を傾け始めた。
ズキンと痛んだ胸の奥には気付かないふりをして。