たべちゃいたいほど、恋してる。
「頑張ってる、もん」
ぷぅと頬を膨らませて怒る優衣に、更に大きくなる女子たちからの"可愛い"の声(ちらほら男子の声も混じっているが)。
からかわれているようにしか聞こえないその声に優衣の大きな瞳からは今にも涙が零れ落ちそうだ。
ピピーッ
タイミングよく吹かれた練習終了のホイッスルに漸くバドミントンから解放された優衣は、よたよたと体育館の隅に膝を抱えて座り込む。
「……うぅ…」
堪えきれず流れてしまった涙を手の甲でぐしぐしと拭う優衣。
(…こんなんだから、体育の成績万年"2"なんだ…)
運動一つ上手く出来ない自身に優衣の悔しさは増すばかり。
交代で始まった他の人の練習風景を見ながら、またしても優衣の瞳に涙が溜まり始める。