たべちゃいたいほど、恋してる。
「うーちゃんに可愛いとか言うなって言ってるでしょ。慣れてないから舞い上がるじゃない」
「いいんだって。俺のは親の贔屓目だから」
「…………二人とも酷いよ」
じっとり健を睨む夏希と、爽やかな笑顔でそれに答える健。
どちらにしても貶しているようにしか聞こえない二人の会話の内容に優衣は頬を膨らませる。
不貞腐れる優衣に健は、嘘だってと笑いながら頭を撫でてやった。
「ってか、それより大上が音楽室まで案内してくれたって…明日槍でも降るんじゃないの?」
そんな優衣と健の会話を完全に無視した夏希は、それよりも気になる龍之介の話へと会話を戻していく。
どこまでもゴーイングマイウェイな女、高野夏希。
「はは!まぁ確かに。珍しいこともあるよなー」
夏希の言葉に健は苦笑しながらも、うんうんと頷いた。
その会話をポカーンとした表情で見ている優衣。
「…え?何が珍しいの?」