たべちゃいたいほど、恋してる。
龍之介がそんなことを思っているなか、興味深そうに髪を眺めていた優衣が、突然小さく声を上げる。
何事かと思い優衣を見れば、すっと降ってきたのは小さな白い手のひらで。
それはおずおずと龍之介の右眉の上にあった絆創膏を撫でた。
「あぁ、昨日ちょっとな」
優衣に触れられ昨日のことを思い出す。
昨日の夜…コンビニで買い物した帰りのこと。
特別変わった様子もなくいつものように家に向かっていた龍之介。
その前に立ちはだかったのは、どことなく見覚えのある制服を着た数人の男だった。
よく見れば、それは優衣と初めて会った日の帰りに絡まれた相手。