たべちゃいたいほど、恋してる。
そして、龍之介がまだ気持ちを認めるわけにはいかない理由がもう一つ。
それは
(まだ…手だしたら、怖がらせるよな。多分)
優衣の父親の一件。
その詳細はわからないが、それが優衣に少なからず"男への恐怖心"を植え付けているだろうと龍之介は考えている。
そしてその考えは強ち外れていなかった。
実際、優衣は健と龍之介以外の男子に自ら接触することは殆どない。
(たまに引きつった顔で喋ってんの見るし…もう少しはこのままだな)
それは注意深く見ていないと気付かない些細な変化。
本人も気付いてはいないが、そんな小さな変化に気付くほど、龍之介の瞳が優衣を追うことが増えているのだ。