たべちゃいたいほど、恋してる。
(……なんでこいつは、俺が可愛いと思うツボをピンポイントで突いてくるんだ)
膨らんだ頬に勢い良く噛み付きたい衝動に駆られた龍之介だったが、そこは自らの理性を総動員してなんとか堪えた。
代わりに後ろから栗色の柔らかな髪へ顔を埋める。
数分間そうしていたかと思うと(その間、優衣の髪がいい匂いだとか、この体勢は間違ってたかもと龍之介が思っていたのは秘密)、突如響いたパンっと手を叩く音。
その音源は龍之介の膝に座る小動物のようで。
どうやら行き先が決まったらしい。
「思いついたか?」
優衣の髪から顔を離し再び頭の上に顎を乗せる龍之介。
そんなことは気にならないらしい優衣は勢い良く頷くと、くるりと体を反転させ龍之介に向き合った。