たべちゃいたいほど、恋してる。
瞳にうっすらと涙を浮かべながら、優衣は再び洋服を物色し始める。
その振り向きざま、ふと机の上に置いてある写真たてが目に留まった。
「…あ」
その中の写真にはまだ五つくらいであろう少女が満面の笑みで写っている。
少女の両脇に立っている両親の笑みも幸せそうだ。
そんな三人の後ろに写っているのは大きな観覧車。
「…っ…」
それは懐かしく、そして遠い遠い記憶。
歪められた表情は、いつもの優衣からは想像できないほど険しくて。
不安定に揺れる瞳を隠すように、優衣はその写真をじっと見つめていた。