たべちゃいたいほど、恋してる。
言いにくそうに言葉を濁した龍之介。
(も、もしかして行けなくなっちゃったのかな)
その声から、一瞬優衣の頭をよぎった不安。
しかし、次に告げられた龍之介の言葉に優衣は散らかした部屋を気にすることもなく、近くにあった茶色の丈の短いカーディガンを手に取ると勢い良く部屋を飛びだした。
"もう家の前まで着いちまった"
まだ約束の時間までは軽く十五分以上の余裕がある。
それにもかかわらず、既に家の前に来ているという龍之介に優衣は嬉しさ半分戸惑い半分の気持ちを抱えたまま玄関のドアを開けた。
「りゅ、くん…っ!」
「悪い。早すぎたな」
家の前に立っていた龍之介はもう一度、悪いと謝ると右手で申し訳なさそうに頭を掻く。