たべちゃいたいほど、恋してる。
そんな龍之介に向かってブンブンと勢いよく首を横に振る優衣。
(こんな早く迎えに来てくれた…!)
本来なら、何処かで待ち合わせをして目的地に向かうのがデートの王道だろう。
しかし言わずもかな、優衣は自他共に認める極度の方向音痴。
下手に待ち合わせをすれば合流できない可能性はかなり高い。
それを踏まえた上で龍之介が優衣を家まで迎えに来ることになっていたのだ。
だが実は優衣、それを物凄く心苦しく思っていた。
自分がもっとしっかりしていればこんな迷惑かけないのに、と。
「まっ待たせちゃってごめんねっ?あ、ああああの…私…っ」
だからせめてもう少し早く準備して外に出ていようと思っていた優衣は、申し訳なさそうに眉を下げる。
しかし、ちらちらと龍之介に注がれる視線は申し訳なさとは裏腹に熱を帯びていて。