たべちゃいたいほど、恋してる。
そんな優衣の笑みに龍之介もまた口元に綺麗な弧を描いた(優衣曰く色気むんむんの笑顔)。
「んじゃ、少し早いけど行こうぜ。日曜だから混むかもしんねぇし」
ほら、と促すように手招きし歩き始めた龍之介に優衣も慌ててその後ろを追い掛ける。
少し先を歩く大きな背中。
優衣はきゅっと小さく龍之介の服の裾を掴んだ。
たくさんの"ありがとう"を伝えたくて。
誘ってくれて
迎えに来てくれて
似合うって言ってくれて
笑ってくれてありがとう。
一つでも多く伝わるようにと優衣の手のひらに力がこもる。
それに気付いた龍之介が僅かに歩くスピードを緩めたことを優衣は知らない。