たべちゃいたいほど、恋してる。
校内でこんな二人を見かけようものなら失神者続出の事態だろうが(主に龍之介の変貌ぶりに)、ここは恋人の聖地である遊園地。
誰もが自分の恋人に夢中なこの場所で、それを咎める不粋者など存在しない。
そんな甘ったるい空気のなか、龍之介がすっと右手を差し出す。
「ん」
「んに?」
差し出された手を見て不思議そうにコテンと首を傾げる優衣。
そんな優衣に龍之介は苦笑しながら
「手、かせよ。こんな人いたら迷子んなんだろ?」
と優衣の左手を絡めとった。
繋がれた手にボッと薔薇が咲いたように真っ赤になる優衣の白い頬。
互いの指は離れぬよう交互に交差しあっていて。
(こ、これが噂の"恋人つなぎ"…なのかなぁ…?)
恋愛経験の無い優衣の知識などクラスメート達が話していたのを小耳に挟んだ程度。