たべちゃいたいほど、恋してる。
(…メリーゴーランド…)
優衣が見惚れたそれは、幻想的なまるでメルヘン世界の乗り物。
それに並ぶ人の数は他の乗り物に比べて、かなり少ないようだった。
それもそうだろう。
これは、大人にとっては何よりも勇気がいる乗り物でもある。
優衣の雰囲気からは乗っても特別違和感を感じはしないが、隣の男は別だ。
大上龍之介といえば桐花一の悪童狼。
喧嘩上等・目で人を殺せるなどという物騒な噂が付き纏うほど、メルヘンなどという言葉とは真逆にいるような男。
(…やっぱり、乗るの…嫌だよね…)
いくら校内での噂に疎い優衣でもそれくらいはわかる。
どう考えたって龍之介が乗るとは思えない。
龍之介が嫌がることをするつもりの無い優衣は、メリーゴーランドを諦め他の乗り物を探そうと辺りを見渡した。
すると
「あ?優衣乗りてぇの?」