たべちゃいたいほど、恋してる。




くいっと引き止められたのは繋いだままの手。

慌てて龍之介の方を見上げれば、その視線は先程まで優衣が見ていたメリーゴーランドへと向いていて。




(み、見てたのばれてる…!?)




「あ、え、あの!ちっ違うの!!ちょっと見てただけで…その…」




とにかく違うの、と首を横に振って優衣は繋いでいた手のひらに力を入れる。

ブンブン と勢い良く否定しながら他の乗り物を探そうとする優衣。


そんな優衣の行動に龍之介はぐっと眉を寄せると、無言のまま優衣の体を抱き上げた。




「え!?あ、あの龍くん…?」


「……」




突然のことに驚きながらもおそるおそる声をかけてみるが、龍之介から返事はない。


無言を貫き歩き続ける龍之介。




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