たべちゃいたいほど、恋してる。
(ど、どどどどうしよぉ…っ怒らせちゃった…?)
何も言葉を発しない龍之介に優衣の不安が一気に募る。
初めてのデート。
そんな場所で喧嘩はしたくない。
しかし、龍之介が黙り込んだ理由がわからない優衣はその不安をかき消そうとぎゅっと目を瞑り龍之介の服を握ることしか出来なかった。
それとほぼ同時にぴたりと止まった龍之介の足。
「…おい、これ乗れんだよな」
それに続くように聞こえてきたのは龍之介の威圧的な声で。
どうやら優衣に向けられたものではないらしいそれ。
校内で時折聞くことのあるその声色に優衣は思わず龍之介の首元に顔を埋めた。
何度聞いても迫力のあるその低い声。
けれど一度だって怖いと感じたことはない。