たべちゃいたいほど、恋してる。
ぐっと顔を近付け、視線をあわせると小さい子どもを諭すよう優衣に語りかける龍之介。
その眼差しには普段の凶器のような鋭さはなく、これが悪童と呼ばれる男なのかと疑いたくなるほど優しい。
優衣はその優しさに涙を浮かべながら両手を伸ばして龍之介の首に抱きつく。
「…ありがとぉ…」
「おぅ」
ぎゅっと力をこめれば暖かい大きな手のひらの感触が頭に降ってきて。
その暖かさが胸の奥の柔らかいところをきゅんと締めつけ、思わず涙が零れそうになる優衣。
それをぐっと我慢して、もう一度龍之介にお礼の言葉を述べた。
「それでは動きまーす」
係員の掛け声とともにゆっくり動き出すメリーゴーランド。
キラキラとその世界が動き始める。