たべちゃいたいほど、恋してる。
「…うにゃぁ…」
考えれば考えるほど龍之介がキラキラと輝いて見えてきた優衣は火照った頬に両手をあて、本日二回目になる謎の奇声をあげた。
「何変な声出してんだよ」
そんな優衣に龍之介は喉の奥で笑いながらその顔を覗き込む。
優衣は真っ赤な顔が見られないようにと必死に首を振り何でもないと告げ、視線を外に向けた。
恥ずかしさゆえの、ただの照れ隠し。
それだけだったはずなのに。
「──────…え…?」
視線を逸らした先に見えた景色。
それに、すっと優衣の大きな瞳が見開かれた。
そして、優衣の周りから全ての音が消えていく。
龍之介の声さえも。
見えたのは一瞬。
しかしその一瞬の間に優衣の目が捕らえたのは、紛れもなく血の繋がった父親と見知らぬ女、そして小さな男の子だった。