たべちゃいたいほど、恋してる。
それだけ叫んで嵐のように去っていった夏希。健と優衣はその後ろ姿を呆然と見送るしかなかった。
「…さて、俺も部活行くわ。うーは早く帰れよ?」
颯爽と消えていった夏希の姿に苦笑しながらも、ポンポンと優衣の頭を軽く叩き笑う健は本当に"爽やか"という言葉がしっくりくるほど格好良い。
(うん。幼なじみの贔屓目なしにしても格好良いと思う。でもドキドキはしないんだよねぇ…どっちかっていうと、お兄ちゃん?)
「おーい。うー聞いてる?俺行くよ!」
「き、聞いてるよ!?あ、ちょっと待って!健くんっ!」
優衣が健の顔を見ながらそんなことを考えている間に荷物を纏めていたらしい健は、既に手に鞄を持って教室を出ようとしているところだった。
その声に現実に戻った優衣は慌てて健を呼び止める。
健は不思議そうに首を傾げて優衣を見た。
「た、健くんも大上くん、怖い人だと思う…?」