たべちゃいたいほど、恋してる。




そんなとき




──────おじさーん!僕あれ乗りたい!




ドクン



不意に近くから聞こえてきた男の子の声。

なんてことはない。

今日は日曜日。

休日の遊園地なのだから子どもの声くらい聞こえてくるのは当然のこと。

気にすることなどなにもない。


しかし、優衣の体を支配したのは言い表わせないほどの嫌な予感で。


振り向いてはいけない、と頭の奥が警報を鳴らしている。

だが、優衣はその警告を振り切りように声のする方へと振り返った。



ドクンッ




「お、と…さん…」




先程よりも大きく跳ねた心臓。


随分と前に何かの本で読んだことがある。


嫌な予感は外れない、と。




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