たべちゃいたいほど、恋してる。




優衣の視線の先にいたのはメリーゴーランドの上から見えた三人で。


見間違えるはずなどない、大好きだった…いや今でもきっと大好きな父親の姿。

小さな男の子と笑いながら手を繋ぐ姿。


その瞬間、目の前は真っ白になり優衣の視界からは色が消えた。




(何で、ここに…?その女の人と、男の子は…だ、れ…?)




混乱した優衣の頭は捕らえているはずの光景をうまく処理出来ない。

現実なのか、夢なのか。

それさえもわからないほど優衣にとって衝撃的な光景だった。


それでも目だけはただひたすら三人の姿を映し続けている。


逸らしてしまえ、目を瞑れと必死に脳から伝達するも、まったくいうことをきいてはくれない体。




(や…早、く…逸らさなきゃ…!)




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