たべちゃいたいほど、恋してる。




まるで、それ以上言うなとでも言うかのように視界を塞いだ大きな手。

背中に感じる暖かい温もりと耳元で途切れる乱れた息。


振り向かなくても誰なのかわかる。

安心するあの香りが優衣の鼻を掠めた。


後ろから強く強く抱き締めてくれているのは優衣に無条件の安心をくれる人。

泣いていれば何処からかすぐに駆け付けてくれるスーパーマンのような人。




「…龍、くん…っ」




すがるように。求めるように。


小さく小さく呟くように名前を呼べば、くるりと反転させられ真っ正面から抱き締められる優衣の体。


小さなその体は標準よりも遥かに大きい龍之介の腕にすっぽりと収まって。




「…馬鹿優衣。俺のいねぇとこで、一人で泣くな」




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