たべちゃいたいほど、恋してる。




「…優衣、大丈夫だから。此処にいっから」




震える優衣を安心させようと、龍之介は抱き締めたその体の肩口に顔を埋め耳元で何度も何度も"大丈夫だ"と囁き続ける。


風すらも通り抜けられないほどに密着した体。

強く抱き締められた優衣には龍之介の低い声とともに、心地の良い心音が聞こえてきて。




(龍くんが…ぎゅってしてくれてる…)




龍之介から伝わる体温に、止まってしまっていた世界が動きだす。


トクントクンと響く音が少しづつ優衣の周りの景色に色彩を甦らせた。



一番に見えたのは耳元で揺れる龍之介の黒に混じった銀色の髪。

キラキラ光るそれは優衣を安心させてくれる。




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