たべちゃいたいほど、恋してる。
我儘を言っている自覚は優衣にもある。
龍之介が自分を思って言ってくれているのだということも、自分の言葉が龍之介を困らせることもちゃんとわかっていた。
それでも、どうしても今は一人であの家に帰りたくなくて。
まだ龍之介の暖かな腕の中にいたくて。
「…っやだ…帰ん…ないの!龍くんっ、やぁ…」
どうしてこんなにも龍之介の傍にいたがっているのか。
どうして龍之介の腕の中にいたいのか。
優衣は少しずつその気持ちの名前に辿り着こうとしていた。
(龍くんの…近くがいいの。一緒がいいよぉ…)
この感情は、ドキドキ高鳴る胸の理由と同じ。
少し切ないあの感覚と。
だからこそ優衣は願う。
早くその名前に辿り着きたい、と。