たべちゃいたいほど、恋してる。
「わ、笑わないでよぉー!!」
恥ずかしさのあまり悲しくもないのに涙で濡れる優衣の瞳。
ぷくっと膨らんだ紅潮した柔らかな頬と、涙で潤んだくりくりとした大きな瞳は優衣を更に小動物へと近付けていて。
龍之介は込み上げる笑いをなんとか噛み殺すと片手でその涙を拭い、再び優衣の小さな手を握りなおした。
「悪い悪い。可愛かったからちょっと意地悪したくなった…ほら、中入ろうぜ」
さらりと"可愛かったから"などという爆弾を投下して優衣の手を引きながら玄関の扉に手をかける龍之介。
何でもない様子の龍之介とは違い、ふいに落とされたその言葉は今の優衣には少しばかり刺激が強かったらしい。