たべちゃいたいほど、恋してる。




恥ずかしさに固まった優衣の手をとったまま、龍之介は家に向かって真っ直ぐに進む。




「……ただいま」




高そうな玄関なドアを引き、律儀に挨拶してから家の中に足を踏み入れる龍之介。

その後ろには小さく"お、お邪魔します"と挨拶しながらも緊張のあまりガチガチに固まっている優衣の姿があった。


そんな優衣に龍之介は大丈夫だと手を握りながら声をかける。


すると龍之介の声に反応したのか玄関から一番近い扉が開き、ひょこりと綺麗な黒髪が現れた。




「あれー?龍もう帰ってきたの?」


「…げ。お前もう帰ってきてたのかよ」




出てきたのは西洋の人形のような顔立ちをした女性。

さらさらと腰まで伸びた髪と色気を含む声をもつ彼女は女の優衣から見ても美しい。




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