たべちゃいたいほど、恋してる。




「龍くんの、お父さん…?」




顔を上げたどたどしく問い掛ければ、はーいと金髪を揺らしながら可愛らしく頷く龍之介の父親だと思われる男。

笑ったその顔は優衣を目の前にしたときの龍之介にそっくりで。




「はっ初めまして!ゆ、遊佐優衣でしゅっ」




慌てて頭を下げ挨拶する優衣だが、勢いづき過ぎたのか最後の最後でまさかの失態。




(は!か、噛んでしまった…!!)




いくら緊張していたとはいえ、龍之介の親への挨拶に失敗するなど言語道断もいいところである。

恥ずかしくてたまらない。


優衣はかぁーっと赤くなる顔を隠すように俯いた。




「はじめまして優衣ちゃん!龍のお父さんです。来てくれて嬉しいよ。会いたかったんだ!あ、さっきの百合は龍の姉ね」




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