たべちゃいたいほど、恋してる。
《迷子の兎》*狼side*
龍之介はその日、迷子の小動物に出会った。
「…だりー…」
この日、龍之介はとにかく調子が悪かった。
学校に着くなり龍之介はその足を今の時間使用されていないであろう家庭科室へと向ける。
(今更授業なんざ行かなくても、たいしたことないだろ。)
既に昼休みが終わった後。完璧な遅刻だ。
それでも学校に来たのは何かと口煩い家族から逃げるため。
「…昨日徹夜なんかするんじゃなかった…」
昨夜、珍しく早めに寝床についた龍之介だったが、不意に枕元に置いてあった本が目に止まり手に取ってしまった。
中を見れば明らかに自分が買った覚えの無い内容の本。
つい興味本位で読み始めてしまったのだが、それがまずかった。
予想以上に面白い内容に夢中になり、眠りに堕ちる頃には空は明るくなっていて。
「洋書なんて久しぶりに読んだ…あれ、親父のだよな」