たべちゃいたいほど、恋してる。
「何笑ってんだよ」
「んー?えへへ…わかんないっ」
そう言ってまたにこにこと笑う優衣に龍之介の口元も知らずのうちに緩む。
しかし、笑っている優衣の瞳に寂しそうな影が見え隠れしているのは龍之介の見間違いではなさそうだ。
結局、帰り道を歩く間も帰ってきてからも泣いた理由を口にすることはなかった優衣。
龍之介もそれを無理に問うことはなかった。
だが、だからといって気にならないというわけではない。
けれど踏み込むことが許される問題なのかがわからないのだ。
わかるのは、自分の気持ちに気付いてしまった以上、龍之介は小さな小さな兎を一人にしたくはないということだけ。