たべちゃいたいほど、恋してる。
日常生活ではあまり使わない異国語を読んでそうとう疲れたのか、目覚めたときにはもう太陽は空の真上で輝いていたのだ。
だるい身体を引きずり来てみたものの、一向に授業に出る気にはなれない。
「…とりあえず、飯」
ごそごそと鞄から大きな重箱を取り出す。
だるいだの遅刻だの言いながら、弁当だけはきちっと作ってしまう自分に龍之介は呆れたような溜息を吐いた。
(確実に親父の影響だ…)
勘弁してくれ、と眉を顰めながらも重箱を広げる。
(我ながら旨そうな出来。ついでに昨日作った菓子もあるし完璧だな)
龍之介は頷きながら自分の弁当を見る。
その時
「ここはどこなのー…」
廊下からパタパタと可愛らしい足音とともに聞こえてきた女の声。
(誰だ、こんな時間に。授業中だぞ)
不思議に思いながらも龍之介は声の正体を確認しようと家庭科室の扉を開けた。