たべちゃいたいほど、恋してる。
今なら思う。
聞いてやるべきだったかもしれない、と。
(…そしたら…)
"私は、いらないの?"
(あんなこと言わせる前に、抱き締めてやれたのに)
ただ呆然と立ち尽くしていた優衣から震えるように零れ落ちたあの台詞。
思わず抱き締めた体が異常に強張っていたことを思い出す。
「…兎は…寂しいと死んじまうのにな」
無意識にそう呟けば、それに反応したように涙を堪え龍之介にしがみついてくる優衣の姿が痛々しくて、愛しくて。
苦しそうに顔を歪めた龍之介は、優衣のその小さな体を手繰りよせぎゅっと力任せに抱き締めた。
少しでも優衣の不安が和らげばいいと思いながら、出来る限り優しく。