たべちゃいたいほど、恋してる。
そんなことを考えている場合ではない。
優衣は一人大きなものを抱え込んでいて、それを今助けてやれるのは龍之介だけで。
それでも、そう頭ではわかっていても、優衣の感情をここまで左右させられる父親を羨ましいと思ってしまった。
だからといって、龍之介に優衣を傷つける気があるわけではない。
そんな趣味は持っていないし、龍之介にとって優衣は守るべき存在なのだから。
(…俺は思ってた以上にこいつの一番になりてぇってわけ、か…)
そう心の中で呟く。
そして
「好きだ」
納得すれば、するりと口から零れたその言葉。
それを止めようとも否定しようとも思わない。