たべちゃいたいほど、恋してる。
ごつごつとした大きな手で、それでも優しく撫でられる感触は優衣の不安を一気に吹き飛ばしてくれて。
「…うんっ!」
安心したように浮かんだ優衣の笑みに龍之介も柔らかく笑った。
雲が消え、陽だまりのように暖かい空気が二人を包む。
それから優衣が着替え終わるのを当然のように家に上がり込んだ龍之介が部屋の前で待ち、手を繋いで学校に向かった二人。
勿論夏希にはきちんとメールを送った。
龍之介の家に泊まったと知れたらまた携帯電話を奪われかねないので、その事は伏せ寝坊と誤魔化したのだか。
その後は二人揃っていつもより少し遅めに登校。
普段通り授業を受け(龍之介はほぼ寝ていたが)、龍之介特製弁当を屋上で食べる。
そんないつもと変わらない時間が流れ、特に何事もなくあっという間にやってきた放課後。