たべちゃいたいほど、恋してる。




ねっとりとまとわりつくような視線に居心地の悪さを感じ無意識に俯いていく優衣。

まさに蛇に睨まれた蛙。



そうして暫らくの間優衣の体を眺めた後、彼女は優衣に向かってハッと小さく鼻で笑った。




「へぇ…龍之介も随分趣味悪くなったのね」


「…え…?」




見下したような冷たい視線と歪んだ口元。

それとともに落ちてきた言葉に優衣は思いきり目を見開く。




(今、龍之介って…龍くんのこと、だよ…ね…?)




自分のものではない、他の女の声で紡がれたその名前にドクリと嫌な音をたてる優衣の心臓。


それは龍之介といるときに感じるような幸せな音ではない。


鈍く重く苦しい音。




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