たべちゃいたいほど、恋してる。
優衣がその言葉を飲み込めたのはどれくらい時間が経った後か。
何十分かもしれないし、数秒だったかもしれない。
気付けば目の前に居たはずの彼女の姿は無くなっていて。
残っていたのは彼女が置いていった言葉と優衣の騒つく胸の内だけ。
(今の、何…?)
頭が混乱して言葉の意味が理解出来ない。
ただ、それが体の自由を奪っていることだけはわかった。
一人になった教室で動くことすら出来ない優衣。
その時
ガラッ
再び開いた扉に優衣の肩が無意識に揺れる。ぐっと強張る体。
しかし、その扉の向こうから見えた姿に優衣はほっと息を吐いた。
「あれ?うー、一人?」
「健、くん…」