たべちゃいたいほど、恋してる。
あははー、と能天気そうに笑う健に対して大層機嫌が悪そうに眉を顰める龍之介。
どうやらかなり虫の居所が悪いらしい。
恐らく相当こってり絞られたのだろう。
それ以上に健と優衣の顔の距離が異様に近いのが原因かもしれないが。
そんなあからさまな態度に苦笑しながらも、健は優衣の頭を二度ぽんぽんと軽く撫でてから立ち上がる。
そしてむすっとした顔でドアの近くに立ったままでいる龍之介に歩み寄り"バトンタッチなー"と肩を叩くと笑って教室を出ていった。
『龍の好みはさ中学時代からずーっと変わってないんだよ』
という意味深な言葉だけを残して。