たべちゃいたいほど、恋してる。
物心ついた頃から一緒で、気が付いたときにはいつでも傍にいて、宝物のように大切に大切に可愛がってきた優衣。
家族や友人とはまた違った大事な存在。
そんな彼女に危害を加える可能性のある人間を健はすぐに判別できる。
そして絶対優衣には近付けないのだ。
そんな健の本能が、龍之介なら大丈夫だと、優衣を笑顔にするといっていた。
「…俺は、さ…騎士なんだよ。お姫様を助けることは出来ても、絶対に結ばれない」
いつもの爽やかな笑みを崩すことなく淡々と告げる健に、夏希も表情をほとんど変えることなくそれに耳を傾ける。
まるで全てを知っているかのように。
「…本当、救えないくらい馬鹿な奴」