たべちゃいたいほど、恋してる。




呆れたような声色で呟かれた台詞に眉を下げ苦笑いする健。だが、その顔に嫌悪の感情は見られない。




「お前こそ、よかったの?」




サァ…と二人の間を吹き抜ける風。


その流れに乗せるように静かな語り口で問い掛けられた言葉に夏希はゆっくりとした動作で健へ視線を移す。

夏希は特に驚きを隠そうとすることもなく素直に目を見開いていて。




「…何、あんた知ってたの…?」




夏希の言葉に健はとぼけたような表情で肩を竦める。

それに一瞬邪険そうに眉を寄せた夏希。


相変わらず喰えない男だと思ったのは秘密にしておこう。


ついでに夏希の小さな舌打ちが聞こえた気がするのも気のせいだということにしておこうと思う。




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