たべちゃいたいほど、恋してる。




「……なんで?」




不思議そうに首を傾げる優衣。




(………可愛いな、おい。って、そうじゃねぇだろ俺)




「いや、何でって…」




そこは何でとか聞かずに素直に頷くもんだ。と思ったものの、本気で不思議そうにしている優衣に龍之介は何故か強く言えない。




(…天然って怖ぇ)




龍之介が再びどうしようかと頭をフル稼働し始めると、その隙をついたように優衣は




「あ!皆に内緒で何か食べてたりするの!?」




と家庭科室を覗き込んだ。




(…しまった!)




慌てて優衣の視界を塞ごうとするが一歩及ばず、調理台の上にある重箱を見られてしまう。




(あぁ…最悪だ)




頭を抱える龍之介をよそに、優衣はするりと腕を潜り抜けると家庭科室に入っていく。


その瞳は、いやというほどキラキラと輝いていて。

もう、嫌な予感しかしない。




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