たべちゃいたいほど、恋してる。
(ひぃゃゃぁぁぁっ!怒ってる、龍くん怒ってるよぉぉおお!)
「…優衣、別にお前に怒ってるわけじゃねぇから…顔上げろ」
椅子の上で俯いたまま体に力を入れ縮こまる優衣の耳に、龍之介の困ったような声が届く。
同時に頭へと降ってきた手のひらはいつもと変わらず暖かくて。
それは優衣がよく知っている、大好きな龍之介の温もり。
それに少しばかり安心を取り戻した優衣は「…ぁぃ」と小さく返事をしておずおずと顔を上げる。
すると、コツンと小さな音をたてて触れ合った二人の額。
今にも睫毛が重なりそうな距離に優衣の顔が薔薇のごとく赤へと染まった。