たべちゃいたいほど、恋してる。




そんなことがかれこれ数十分の間続き、漸く解放された頃には予定の時間を大幅に過ぎてしまっていて。




「くそっ!あの若禿げのせいで…」




結局最後の方に至っては、お前は背が高いからなどと意味のわからない文句まで言われた龍之介。

理解できない説教に、眉間に深い縦線を刻みブツブツと文句を言いながら廊下を歩くその姿は完全に悪人だ。


体の周りを囲むようにどす黒い靄が見えなくもない。


当の本人はそんなこと微塵も気付いていないのだが。



そんな状態のまま、教室までの最短ルートを通り階段前まで辿り着いた龍之介。これを上ればすぐに教室だ。


あと少しで帰れると思わず安心した瞬間、目の前の階段から下りてくる一人の女子生徒が目に入った。




(…あ?…あれって…)




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