たべちゃいたいほど、恋してる。
優衣という存在を初めて認識したあの日の放課後に健から言われたそれ。
あの時は否定したその言葉に、今更ながら深く頷く龍之介。
(…よく考えたら、そうかもしれねぇな)
そして優衣が自身のタイプであるなら昔の彼女もそうであったのかもしれない、とそんな思いが龍之介の頭を掠める。
とはいえ、今龍之介が理想として思うのは優衣だけで。
今更、井上春奈という存在を思う気持ちは微塵もない。
だがもし理想像というものが中学時代から変わらないのだとすれば、優衣を好きになったのは必然だったのだろう。
その考えに辿り着き、思わず緩む龍之介の頬。
(あぁ…早く優衣に会いてぇ)