たべちゃいたいほど、恋してる。




まさかそんな台詞が優衣の口から飛び出してくるなど微塵も思っていなかった龍之介は、言い返す言葉すら思い浮かばない。




(……いやいやちょっと待て。俺そんなこと言ってねぇだろ。つーか優衣だってかなりスタイル良い…って違う違う。それは今は関係ねぇ。それより誰だよ。そんなこと優衣に吹き込んだの)




その時、ふとここに来る途中階段で会った彼女の姿が龍之介の脳裏を過った。

まさか、と思う。


しかし彼女以外に思い当たらないのだ。


よくよく考えてみれば、彼女があの階段から下りてきた光景は些か不自然なものだった。


そもそも彼女の教室は龍之介たちとは違い一階にある。

そんな彼女が一人で特別教室もない上の階から下りてくる確立など限りなくゼロに等しい。




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