たべちゃいたいほど、恋してる。
今更な話ではあるが、彼女と付き合っている時にそういう気分にならなかったのは、龍之介にとってその程度の感情だったということだろう。
それは龍之介がそういったことに興味がなかったというわけではない。
どうやら"好意"と"恋慕"というのは似て非なるものだったようだ。
実際、龍之介は優衣に対して欲を感じている。
(優衣には、触りてぇんだよな。抱き締めたいし、キスだってしたい)
"触れたい"と無意識に動きそうになる体。
それを止めるのは理性を総動員しても大変で。
そのたび、自分も男なのだと否応なしに思い知らされる。
けれど、傷付けたくはないから。
切れずにいてくれる自分の理性に感謝していた
。
過去のことを話しながらそんな自分に一人ごちる龍之介。