たべちゃいたいほど、恋してる。




(…………………)




優衣が発したその言葉を聞くや、龍之介の額にピキリと青筋が浮かぶ。


優衣の表情から、その言葉にかなりの信憑性を感じているようだ。

それはその発信源を信頼しているということ。


優衣にそんなことを吹き込める人間など、龍之介は一人しか知らない。


誰に言われたんだ、と無言で詰め寄れば言いにくそうに視線を彷徨わせた後、ゆっくり口を開いた優衣。




「た、健くん……です」




出てきた予想通りすぎる名前。


思わず盛大に出た舌打ちを隠す気にもならない。




(やっぱりあいつかよ…いらねぇこと言いやがって!)




密かに、今日の夜家に押し掛けてやろうと龍之介が心に決めた瞬間である。




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