たべちゃいたいほど、恋してる。




夏希の口から"ぐぇっ"という女の子としてあるまじき蛙のような低い唸り声が聞こえた気がするが気にしないことにしよう。

実際優衣はそれに微塵も気付いていない。


うぇー…とその腰に抱きついて子どものようにぐずっている優衣。

夏希はそんな優衣の頭をよしよしと宥めるように撫でてやる。




「ダメじゃないけど…まぁ、それは本人に聞いたほうがいいんじゃないの?ほら。うーちゃんが見せたい相手、来たんじゃない?」


「ふぇ?」




夏希の言葉に優衣が顔を上げたのとほぼ同時に、がらっと勢いよく開いた教室前方のドア。


その瞬間誰が来たかわかったのか
、一瞬で静まり返るクラスメートたち。

教室中の視線が一斉にそちらを向いた。




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